W杯でスペイン代表が優勝した。スペインが”万年ダークホース”を返上した瞬間だった。ついに、というか、ようやく、といった方がいいだろう。
「100年以上のサッカーの歴史を持ち、世界最高峰のリーグを有するにもかかわらず、なぜに代表となると力を発揮できないのか?! …」というのは長年の疑問だったほどだ。
『バルサとレアル』という日本語版のメインタイトルは誤解を招くのでよくない。FCバルセロナとレアル・マドリーだけについて書かれているわけではないからだ。ひとつの街や地域のなかに、対抗する歴史を持つ複数のクラブがあって”ダービーマッチ”が成り立つから盛り上がるのだ。本物のサッカーファンのなかに、スペインのクラブチームのファンが結構多いのもうなずける。
日本の場合はサッカーがまだ社会に根付いていないので「代表人気」が先行している感があるが、世界のサッカー界では街のクラブチームが基盤だ。クラブチームあっての代表なのだ。ヨーロッパや南米では、どんな小さな地方都市にもクラブチームがあり、街の人々に支えられ、その暮らしのなかで欠かせない要素になっている。スポーツも文化である以上、”根なし草”では存続することができない。
著者は、イングランド育ちの人なので、サッカー(正確な英語ではフットボール)は子供の頃から慣れ親しんだ文化になっている。しかも長くスペインに在住している。だから、その語る言葉は深く含蓄がある。
今回のW杯を観ていて思ったが、やはり多様性を受け入れられる国の代表チームのサッカーが面白い。スペインは多くの自治州から成り立っており、もとより多民族国家の典型だ。また、準決勝でスペインに敗れたものの、今回のドイツ代表のサッカーは素晴らしかった。1998年大会のフランス代表チームをほうふつとさせる。”ゲルマン魂”などという精神論で躍進したわけじゃない。ドイツも移民の子弟たちを受け入れ、多様性を活かせるようになってきたおかげだろう。
今年、名古屋で開かれるCOP10のテーマも”生物多様性”だ。わが国も、社会のいろんな分野に多様性が求められる時代が来ているような気がするのだが、いかが?
『歴探おススメ本』のエントリ
- 『収容所に生まれた僕は愛を知らない』KKベストセラーズ(C)2008
- 『全集 日本の歴史 第9巻 「鎖国」という外交』ロナルド・トビ著 小学館(C)2008
- 『まれびとたちの沖縄』(小学館101新書)与那原 恵(よなはら・けい)著
- 『カムイ伝講義』田中優子・著
- 小説『悪党の戦(あくとうのいくさ)』金 重明(キム・チュンミョン)著
- 『バルサとレアル スペイン・サッカー物語』
- 『百済武寧王の世界 海洋大国・大百済』蘇 鎮轍(ソ・チンチョル)・著
- 『日本人よ! 』Ivica Osim著、長束恭行・訳
- 『ローマ文化王国 新羅』由水常雄・著(新潮社)
- 小説『オペラ座の怪人』ガストン・ルルー作、長島良三・訳(角川文庫)
- 小説『孤将(こしょう)』(新潮文庫)金薫(キム・フン)・著、蓮池薫・訳



