タイトルの問いかけはそのまんま「日本列島はどうできたか」ということでもある。この本は、「日本」という名前が人為的につけられる前の、列島の成り立ちを地球的視野で科学的に解明している。
地球の歴史が始まったのは46億年前というのはすでに常識になっている。現在、僕らが思い描く北海道から九州までの日本列島のカタチ、”竜の落とし子”みたいな形になったのは比較的新しい。しかも、従来言われたように列島が”竜の落とし子”状態のまま昔から存在したわけではなかった。そして、「日本海」は陥没して出来たのではないことが実証された。
著者たちの地道なフィールドワークによって得られた古地磁気データの積み重ねから明らかになったことは、日本列島は東北地域と西南地域という少なくとも二つの部分に分かれてそれぞれアジア大陸にくっついていたという事実だ。具体的に言うとこうだ。東北地域は今のロシア沿海州、シホテ・アリニ山脈あたりにくっつき、九州からフォッサ・マグナ(糸魚川・静岡構造線)までが朝鮮半島東岸とくっついていたという。それがアジア大陸側からかかった何かすごい地殻変動パワーによって太平洋側に押し出され、やがてくっついてできたのがのちの日本列島の原型になったらしい。
著者は、その”地殻変動パワー”とは、インド亜大陸がユーラシア大陸に南からドッキングした時の衝撃だと仮定している。ヒマラヤ山脈やチベット高原を造り出したパワーが東アジア方面まで波及したとみるわけだ。そして古地磁気データによって導き出された説が、西南地域となる部分は時計回りに移動し、一方、東北地域となる部分は反時計回りに移動したという説である。
「1500万年前、日本列島は回転した!」という帯コピーはそれを端的に表現したものだ。
とくに面白いと思ったのは、西南地域の方だ。後に日本列島の出雲(いずも)と呼ばれるようになる地域は、朝鮮半島の慶尚道(キョンサンド)東海岸と一体化していたという事実だ。後に列島の西南地域となる部分の移動する様子を想像していたら、僕は『出雲国風土記』に出てくる「国引き神話」をふっと連想した。ちなみに、いま地球上で生きている僕ら人類の祖先たちの歩みは20万年~10万年前にアフリカで始まっている。当然、祖先たちはまだユーラシアの東の端にはたどり着いていない。『出雲国風土記』が編纂されたのは8世紀だ。文字どころか人も住んでいなかった遠い昔のことなど語れるわけがない。そう思い直しつつ、不思議な気持ちになったものだ。
いずれにしても、画期的な研究成果だと思う。
西日本と東日本では風習や文化がさまざま異なる。それは、これまでいろいろな先達が指摘し証明してきている。列島の成り立ちは、そういうことにものちのち反映しているのだろうか。



