本書のタイトルは「韓国」となっているが、南北に分断される現代史だけではない。古代から現代までの朝鮮通史である。最近では、朝鮮半島には紀元前4世紀頃から「朝鮮(チョソン)」と呼ばれる勢力が存在したことが知られるようになっている。少なくとも「日本」という国ができるよりはずっと昔のことだ。
しかし従来、わが国では、”古代、日本は朝鮮半島に植民地を持っていた”などという作為的な歴史認識が国策として幅を利かせたため、東アジア地域の科学的な歴史研究が大きく立ち遅れてきた。
日本という国の生い立ちを追及すると古代朝鮮にたどりつく。今日、まともな研究者なら、わが国・日本の生い立ちや文化は古代朝鮮とリンクしていることを認めるはずだ。
欧米諸国の通史はたくさんある。しかし。同じアジアの、朝鮮の通史、しかも私のような研究者ではない人間にもわかりやすく読める通史はほとんどなかった。(2002年ごろから少しづつ刊行されるようになってはいるが。)
本書は”近くて遠かった”隣国を知る上で格好の入門編だ。著者は1968年生まれという。ハングルを学び、言葉をきっかけに交流し、韓国に在住したこともあるとか。これからも、両国の橋渡し役としての仕事を期待したい。



