『日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)』篠田 謙一
今、地球上に生きている人類の共通の祖先はアフリカで生まれた。というのは、麺類の某テレビCMでもネタになるほど知られるようになった。
事実が明らかになれば、常識も時代によって変わるのだ。アフリカ大陸でヒトが霊長類から分かれたのは約500万年前だという。それに比べれば国家や民族の歴史などつい最近のことだ。だのにである。たとえば、この「日本」という国の生い立ちはいまだにきちんと明らかにされていない。たかだか1800年前や2000年前のことをナゼにうやむやにするのか?
この本は、人類の移動と拡散の歴史を、昨今注目されるDNA分析を手がかりにわかりやすく説明してくれる。当然、日本人のルーツにも科学の眼で肉迫している。
来年は、その人類共通の故郷、アフリカ大陸で初めて、世界中の人々が楽しみにしている人類最大のスポーツイベント・サッカーW杯が行われる。わが日本代表チームも、きびしいアジア予選を闘って参加枠に入ることができた。その快挙を素直に喜びたい。そして、ともに楽しみたい。
その前に、この一冊はぜひ読んでおきたい。この本は政治や経済の本ではない。しかし。この国の、これからの進路を決める上で大きな示唆(しさ)を与えてくれる。
◆『日本人になった祖先たち DNAから解明するその多元的構造』(NHKブックス)篠田謙一・著 2007(C)日本放送出版協会・発行



